惑星ミライ開拓団
どこを向いても、ヤミ。
暗黒のうなばらを、ぼくたちのスターシップはすすむ。
めざすは、惑星ミライ。そこに、自由はあるのか?
ぼくが地球補完機構のポスターを見たのは、はじめてではなかった。
いつもは、笑って通りすぎるのに、その時は、
「めざせ 若者! 惑星ミライ開拓団 募集!」
イラストの若者たちは、手をたかだかと上げて茶番としかいいようのない、
ひどい出来だった。こんなポスターで人が集まるものかと、
笑っていた僕が、この船に乗っている。
開拓団の参加は両親は反対だった。両手で顔をおおいすすり泣く母。
父は何もいわずパイプに火をつけた。惑星ミライには、
片道150年はかかる。
生きてふたりに会うことはない。
当直の時間は終わった。僕はカプセルに横たわると、
カプセルは、機械音をたてながら閉じた。
遠くから、カプセルの開く音が聞こえた。
つぎに目が覚める時は、33年後だ。
その頃には、どんな世界が
僕を待ち受けているのだろう。
すーと、消え行く意識の中で、僕は思った。
きっと、そこには自由があるはずだ。
2007.1.25 作 そのリン
久しぶりに書いた、
ショートショートです。
創作って、楽しいですね。
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